建設キャリアアップシステム(CCUS)は義務?いつから?

義務

建設キャリアアップシステムの登録は義務なのか任意なのか気になっている方向けに、建設キャリアアップシステムの義務化の有無と今後の予想について、わかりやすく解説していきます。

※建設キャリアアップシステムって何?
建設キャリアアップシステム(略称CCUS)は、技能者の就業履歴などのキャリア情報を記録していく国が管理するシステムです。技能者に発行されるカードを現場でタッチすることで活用することができます。
詳しくは「建設キャリアアップシステム(CCUS)とは?10分で解説!」を参照。

目次

建設キャリアアップシステムは令和5年から原則義務化?

結論を先にお伝えすると、建設キャリアアップシステムの登録は、現状では義務ではなく任意となっています

しかし、建設キャリアアップシステムが開始された2019年時点で国は、令和5年(2023)年には、全ての工事の現場で建設キャリアアップシステムを導入することを表明し、これを令和5年の原則化フェーズとしていました。その為、本来であれば、すでに建設キャリアアップシステムは現場に入る為には登録が義務になっているはずでした。

しかし実際は皆様がご存じの通り、全ての工事に建設キャリアアップシステムが導入されている状況にはなっていないのが現状です。

現状は義務ではなく一部を除き任意のシステムになっている

国の当初の想定よりも建設キャリアアップシステムの普及は時間がかかっているのが実情で、現状は、建設キャリアアップシステムの登録は義務ではなく任意となっています。その為、登録をしていなくても入れる現場はまだまだ多く、法律上何か罰則があるわけでもありません。

しかし、現時点で登録が義務になっているケースがありますので注意が必要です。それは外国人を雇用する事業者のケースです。

外国人技能者を雇用する場合は加入が義務

外国人技能者を雇用する企業は、建設キャリアアップシステムの登録は義務となっています。これは建設分野で技能実習生の失踪が問題になり、実習生保護の為に建設キャリアアップシステムの登録を義務化した背景があります。

その為、技能実習生はもちろんのこと、特定技能外国人など、外国人を雇用する事業者は必ず建設キャリアアップシステムの登録をしなければいけません。現在、技能実習生や特手技能外国人の入国手続きの際に、受け入れを行う事業者が、建設キャリアアップシステムに登録していなければ、入国許可が下りない仕組みになっています

いつから義務化されるのか?

では、建設キャリアアップシステムはいつから義務化されるのでしょうか?今のところ明確にいつから義務化するという事は発表されておらず、今後ずっと任意のシステムとして運用される可能性もあります。というのも、本当に建設キャリアアップシステムを義務化するには建設業法等にその旨を明記する必要があり、そのハードルは高いと考えられるからです。

ただし、国はこのシステムを技能者の労働環境改善の為に全事業者、全工場に普及させたいと本気で考えており、今後国の政策により、任意とはいえ実質加入義務があるような状況に制度を整える可能性は高いです。実際に、すでに国は様々な政策を実行しており、実質義務化の流れは今後ますます加速してくと思われます。

実質義務化の流れは加速している

先述した通り、現時点では任意のシステムの建設キャリアアップシステムですが、実質義務化の流れはすでに加速しています。その理由となっている背景をいくつかご紹介していきます。

経営事項審査での加点対象になっている

建設キャリアアップシステムは経営事項審査の加点対象となっており、登録技能者のレベルや、システムの登録や運用状況によって加点がされます。公共工事を受注している事業者にとっては、経営事項審査での加点は無視できるのものではなく、土木事業者を中心に多くの事業者が登録を進めるきっかけになりました。

詳しくは「建設キャリアアップシステムで経審に加点!未登録は減点も?」参照

公共工事の加点項目になっている自治体がある

建設キャリアアップシステムの登録や運用を公共工事の加点項目に設定している自治体も出てきました。例えば福岡県では、競争入札参加資格審査における1項目で建設キャリアアップシステムの登録を加点対象にしています。他にも加点を実施や検討している自治体もあり、地域の公共工事に参加する事業者から登録が進んでいくことが予想されます。

元請けからの要請が強まっている

上記のような流れから、公共工事に参加するような元請け業者から登録が進んでおり、そうなると、その現場に下請けで入っている事業者も元請けから登録するよう要請が強まっていくことが予想されます。現に、建設キャリアアップシステムの登録がないと入れない現場が、最近急速に増えている印象も受けます。このような流れで、実質義務化の流れは今後も加速していくと考えられます。

結局登録はした方が良い?しなくて良い?

ここまで読んでくださった皆様は、現在、登録は義務ではないが、実質義務化の流れがあることをご理解頂けたと思います。では、結局登録はした方が良いのか?しなくて良いのか?そんな疑問が浮かんでいる方も多いと思います。

これは非常に難しい問題で、事業者様の状況によりけりなのが正直なところです。建設キャリアアップシステムは、本質的には技能者の為のシステムなので、事業者は、従業員のことを考えるのであれば、登録を進める方が良いのは明らかではあります。ただし、事業者としての登録するメリットや、登録しないリスクも、現実には登録の判断材料になってくると思います。それらを加味して、事業者様がそれぞれで登録の判断をされることをオススメします。

建設キャリアアップシステムに登録するメリットや、登録しないリスクについては、「建設キャリアアップシステム(CCUS)のメリットを解説!」の記事の中で詳しく解説しています。登録を迷われている方は、参考になると思いますので、ぜひ一読いただければと思います。

まとめ

以上、ここまで建設キャリアアップシステムの登録が義務かどうかについて解説してきました。義務でないとはいえ、技能者のキャリア蓄積を考えると、早く登録することのメリットが多いのも事実です。登録してカードが発行されるまで最低でも2か月程度かかる為、迷っている方は早めに登録を検討されることをお勧めいたします。

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この記事を書いた人

大西 一路のアバター 大西 一路 行政書士

建設業専門の行政書士法人「長﨑行政書士法人」の代表行政書士
専門分野:建設業許可・経営事項審査・入札参加資格申請・CCUS登録代行
資格:行政書士/CCUS登録行政書士/建設業経理士

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