建設キャリアアップシステム(CCUS)のメリットを解説!

メリット

建設キャリアアップシステムに登録しシステムを利用することで、会社にとって多くのメリットがあります。本記事では、建設キャリアアップシステムへの登録に迷っている事業者様に向けて、建設キャリアアップシステムを利用するメリットをわかりやすく紹介していきます。

※建設キャリアアップシステムって何?
建設キャリアアップシステム(略称CCUS)は、技能者の就業履歴などのキャリア情報を記録していく国が管理するシステムです。技能者に発行されるカードを現場でタッチすることで活用することができます。
詳しくは「建設キャリアアップシステムとは?10分で解説!」を参照。

目次

建設キャリアアップシステムは技能者の為のシステム

そもそも建設キャリアアップシステムは、建設業界で働く技能者の労働環境改善を目指して作られたシステムです。その為、本来は技能者の為のシステムであり、技能者のメリットの為に、業界が一体となって取り組み導入していくシステムといえます。

しかし、キャリアアップシステムを利用することで、技能者だけでなく事業者も多くのメリットを直接受けることができます。それでは、その事業者が受けられるメリットを下請け業者の場合と元請け業者の場合に分けて紹介していきます。

事業者のメリット【下請け業者の場合】

建設キャリアアップシステムを利用する下請け事業者のメリットは以下の3つがあげられます。いずれのメリットも、今後キャリアアップシステムの普及に伴い、どんどんと大きななっていくことが予想されます。

未登録を理由に現場に入れないリスクが無くなる

建設キャリアアップシステムに登録している事業者は令和5年3月時点で、およそ20万業者あり、建設業許可を取得している事業者がおよそ47万社あることを考えると、ゼネコンや大手工務店などの元請業者や上位下請け業者の多くは、すでにキャリアアップシステムを利用しています。

その為、それらの元請業者の現場には、キャリアアップシステムに登録していないと入れないことになり、実際にそのような理由で現場に入れないというケースが急増しています。システムに登録することで、現場に入れないリスクを0にすることができます。

元請け・発注者にアピールできる

ゼネコンや大手工務店の多くは、すでにキャリアアップシステムを導入しているところが多い一方で、下請け業者の登録率はまだ多いとは言い切れない為、キャリアアップシステムに登録していることが、元請業者や発注者へのアピールになります。元請としては、現場でキャリアアップシステムを活用するには、キャリアアップシステムに登録している下請け業者に現場に入ってもらう必要があるからです。

また、キャリアアップシステムに登録することで、自社の施工能力(資格保有者が何名いるかなど)が見える化されるため、元請や発注者に自社をアピールしやすくなります。

優秀な人材の確保につながる

建設キャリアアップシステムは技能者の為のシステムであることから、システムを導入している会社は、技能者の事を考えている会社という評価を受ける事ができます。それにより、自身のキャリアをきちんと蓄積し評価してほしいと望む、優秀な技能者から選ばれやすい会社になります。また、会社側が技能者を採用する際も、技能者のこれまでの実績や保有資格などを、技能者の技能者登録を通じて確認しやすく、優秀な技能者を採用しやすくなるというメリットもあります。

事業者のメリット【元請け業者の場合】

それでは次に元請け業者のメリットをご紹介していきます。元請け業者は費用面での負担が大きいですが、その分、システムを利用することのメリットも大きいです。

書類作成などの事務作業が軽減される

建設キャリアアップシステムを利用すれば、施工体制台帳や作業員名簿などの現場書類や安全書類を、システムを通じて作成することができ、事務作業の大幅な軽減が期待できます

また、建退協の電子申請システムと連携することも可能で、キャリアアップシステムの就業実績を活用した、スムーズな掛け金の納付が可能になります。

下請け事業者の管理が効率的に行える

キャリアアップシステムを通じて、下請け事業者の社保加入の有無や、職長教育の受講有無などを簡単かつ確実に確認できるようになります。これまで、書面や資料で確認していた作業を省略することで大幅な業務の効率化を図れます。また、現場での下請け業者の勤怠管理もシステムから効率よく行う事が可能になります。

公共工事の加点につながる

公共工事に参加する事業者にとっては、建設キャリアアップシステムの利用によるメリットはさらに大きいものになります。令和5年の経審改正により、キャリアアップシステムの利用が経審の加点要素となりました。またこれにより、キャリアアップシステムの利用をしない事業者は経審の点数が下がることにもなります。
※経審の加点や減点については「建設キャリアアップシステムで経審に加点!未登録は減点も?」で詳しく解説しています

また、経審だけでなく、公共工事の工事成績評定での加点や、入札参加資格申請での加点を行う自治体も増えており、未登録業者より多くのインセンティブを受けられる状況が、公共工事において増えてきています。

技能者のメリットは自身のキャリアの見える化

ここまで事業者のメリットをご紹介してきましたが、当然、技能者のメリットがあることが前提になっています。建設キャリアアップシステムの技能者のメリットは、なんといっても自身のキャリアの蓄積と見える化です

キャリアアップシステムによる就業履歴の蓄積や、保有資格の登録により、自身のキャリアや技能が見える化できる為、正当な能力評価を受けやすくなり、適切な賃金評価にもつながりやすいメリットがあります。また、転職活動においても、自身の能力をアピールしやすくなります。

登録しないリスクはある?

このように、事業者にも技能者にもメリットの多い建設キャリアアップシステムですが、令和5年現在、登録は義務ではなく任意となっています。それでは、登録しないことによる事業者のリスクはどのようなものが考えられるでしょうか。

ゼネコンの現場や公共工事に入れなくなる

もっとも大きなリスクは、ゼネコンの現場や公共工事の現場に入れなくなることです。すでに建設業界では、中規模から大手ゼネコンの現場ではキャリアアップシステムの導入がされているケースが多く、そのような現場には、未登録業者は参加できないケースが多くみられます

また令和5年からは、公共工事において、キャリアアップシステムを導入しない元請は、経審において減点がある為、公共工事の多くでもシステムが導入されることが予想され、ゼネコンの現場と同様に、未登録業者が現場に入れないケースが増えると考えられます。

外国人雇用ができない

技能実習生や特定技能外国人など、外国人を建設現場で活用する事業者は、必ずキャリアアップシステムに登録していないといけません。事業者登録をしていない業者は、技能実習生のビザが下りない仕組みになっています。その為、未登録業者は、建設現場では欠かせない存在となっている外国人技能者の活用ができないというリスクがあります。

優秀な人材から選ばれなくなる

今後、キャリアアップシステムに登録する事業者がさらに増えていくと、未登録業者が、技能者から選ばれなくなるリスクがあります。技能者にとって、自身のキャリアが蓄積され見える化される事は多くのメリットがあり、就業意欲にもつながります。そういった技能者にとっては、キャリアアップシステムに登録していない事業者は敬遠対象になってしまう可能性があり、未登録業者は優秀な人材が確保しづらい状況になっていくことが予想されます

まとめ

以上、ここまで建設キャリアアップシステムを利用するメリットと、登録しないリスクについて解説してきました。建設キャリアアップシステムの利用は業界でどんどん拡大しており、ここで紹介したメリットとリスクは、どちらも今後ますます大きくなっていくことが予想されます。まだ未登録の事業者は、他社に先駆けて導入を検討されてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

大西 一路のアバター 大西 一路 行政書士

建設業専門の行政書士法人「長﨑行政書士法人」の代表行政書士
専門分野:建設業許可・経営事項審査・入札参加資格申請・CCUS登録代行
資格:行政書士/CCUS登録行政書士/建設業経理士

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